同人誌評・2025年


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「西日本新聞」12月8日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「それでも生きる」
丹生秋彦さん「ドリフトウッド」(「季刊午前」66号、福岡市)、和田信子さん「百日紅」(「南風」58号、福岡市)
田中青さん「合鍵」(「南風」58号)、髙﨑志乃さん「市場一区2 それからの日々」・木島丈雄さん「私をあきらめないで」(「季刊午前」66号)、下村幸生さん「あたいは捨て猫『ルナ』」(「宇佐文学」77号、大分県宇佐市)

全国同人雑誌協会ニュースレター10号全国同人人雑誌評評者和田伸一郎 - 和田伸一郎2025/12/03
  今回『文芸思潮』より6部送られてきた。同人雑誌評の楽しみはおもしろい作品に出会うことである。興味ある題材、文章の良さといったものに惹かれる。
 『高知文学51号』(高知文学学校機関誌・高知県)は、初めて知る同人誌だ。300ページに散文の力作が載っている。
 「終の塒」杉本雅史は、底辺生活をしている二人の男が語り手となっている。「和男」は、老舗時計店の三代目だったが、そこを潰して妻子にも逃げられ、死のうと思って屋上から飛び降り、生き残り、75歳の現在、胃癌患者であり生活保護受給者でもある。「清志」は、十代末から30年間精神病院に入院していた56歳で、木の玩具を作る作業所に通っている。
 二人が出会うきっかけはともに住んでいる古びた木造アパートが解体されマンションを建てるということで、立ち退きを迫られているためだった。二人とも保証人がいないため、次の住処がなかなか見つからない。世間の生活保護受給者と精神病者に対する偏見がリアルに語られている。生活保護受給者は、許可を得られないと貯金が認められないということを私は初めて知った。
 ただ二人が出会う場面は相手側が苗字となるので、初めは読んでて混乱した。両方とも最初からフルネームにしたほうが分かりやすい。「和男」の世間に対する憤懣と清志の目立たないように生きようというあきらめが交錯し、「和男」の死によって清志が感情を爆発させる。現代社会に依然解決できてない問題を提示している作品である。。
 「ごめん」山内めぐみは、「御免」という地名に掛けた連作短篇だが、最初の「鹿児」をおもしろく読んだ。仕事を抜け出せなくて父親の葬式に出られなかった東京に住む「僕」が、実家のある高知へ墓参りに帰る場面から始まる。実家に行く前に、父親が息をひきとった病院を訪ねる。その間に「僕」のこれまでの人生が淡々と語られていく。村上春樹調の文体で読みやすかった。
 そのほか、エッセイでは、「「酢みかん」のすすめ」大野早苗を読んで、酢みかんというものを食べたくなった。
 『海101号』(福岡県)も、初めて読んだ。小説、エッセイ、詩、翻訳、短歌、俳句、コラムと様々なジャンルの作品が並んでいる230ページの同人誌である。
 「凍裂」高岡啓次郎は、凝った作りとなっている。夫に嫌気がさし、15年間の結婚生活に終止符を打って早朝、「私」は男に会いに家を出ていく場面から始まる。
その男というのが、かつて500万円の懸賞金をかけられていた指名手配犯だった。その男が犯人であると通報したのは「私」だった。男の母親はショックを受け自殺した。その後、真犯人が現れ、男は釈放された。「私」は男の母親に済まないと思い懸賞金を返すと言い出したが、家族に猛反対された。男の母親の家にお詫びの手紙を書く。すると、男から返事が来て、みな自分の不徳の致すところで、気にする必要はないとの内容だった。それから男との文通が始まり、エゴイストの夫と較べ、男に心を奪われて家を出ていくという内容だ。恋愛ものにサスペンス要素を加えたもので、おもしろく読んだ。難を言えば、夫を通俗的な悪者にしないほうがよかった。
 そのほかコラムで、「『九州・沖縄同人誌傑作選』を刊行」(花書院)を興味深く読んだ。各地域でこのような本が出版できれば、盛り上がるだろうと思う。そして「全国同人雑誌傑作選集」が定期的に刊行できればと思う。
 『文芸同人誌「絵合わせ」12号』(福岡県)は、小説を中心とした60ページの同人誌で、これも初めて読む。
 「あの日、下駄を持って」本多和代は長崎原爆直前から直後までの情景を、長崎市立高等女学校二年生「俊子」の視点で描かれている。その悲惨さを強調するでもなく、具体的な地名を上げて淡々と描かれている日常を通してその心情が伝わってくる。長崎原爆直前までを描いた井上光晴著『明日』とはまた違った、地元民ならではの地に足が付いた作品となっている。
 『仙台文学106号』(宮城県)は、詩、随想、小説からなる70ページの同人誌で、名前は知っていたが、読むのは初めてだ。
 随想「幻の森有礼伝」石川 繁を興味深く読んだ。かつて森有正のエッセイ集をよく読んでいたので、その祖父の伝記に興味がわいた。森有礼は「第一次伊藤博文内閣で初代文部大臣となって学校教育制度の基礎づくりに尽力したが、国粋主義者の反感をうけて暗殺された(1847~89)。」森有礼は「財産及言論ノ自由等」は「人民ノ天然所持スル所」という思想を持っていたという。
 随想「文化翻訳に必要な条件とは何か―日本文学作品の中国語翻訳の事例―」王 霄漢を興味深く読んだ。「村上春樹の作品は中国読書人にも広く深く浸透している。」とは、私は知らなかった。しかし、中国人に好まれている翻訳は、原作に忠実なものより、「許される範囲内で、訳文に少し塩味を加えた」ものだという。淡白な日本料理が中国人に伝わりにくいように「中国人と日本人の審美的距離を縮めるため」だという。
 『北斗六月號(718号)』(愛知県)驚くことに、同人誌でありながら月刊誌である。私には、同人誌を月刊で出すなどまったく信じられない。小説、短歌、エッセイ、評論からなる七六ページの同人誌である。
 「最低」永野佳奈子は、「梨紗子」の九四歳の母親は、トランプ大統領さながらの問題年寄りとなっている。「「憎まれっ子世に憚る」というけれど、利紗子の母親は紛れもなくこの範疇に属している。」いまだに利紗子に「いちいち電話をかけてきて、確認してきたり、命令口調で指示したりもする。けちで「孫に一円の小遣いも、お年玉すらもくれなかった。孫に愛情をかけても、何の得にもならないと平気で言える人だ。」こうした母親を相手にしての苦労話なのだろうが、この九四歳の母親の奮闘ぶりについ笑ってしまう。巧まずしてユーモア小説になっている。

「西日本新聞」11月12日(水)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「言葉と語り」
立石富生さん「道しるべ」(「火山地帯」215号、鹿児島県鹿屋市)、山内スワンさん「鬼神」(「龍舌蘭」215号、宮崎市)
野見山潔子さん「水色の空」(「火山地帯」215号)、鳥海美幸さん「カメ」(「龍舌蘭」215号)、草場里見さん「遙かなる恩讐(前編)」・新名規明さん「夢の如くにて御座候(8)」(「ら・めえる」90号、長崎市)

「西日本新聞」10月7日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「音楽と記憶」
水木怜さん「回顧録 ストーリー・上」(「照葉樹二期」28号、福岡市)、横山起朗さん「夏の夜、甘い香り」(「文学と汗」5号、宮崎市)
沖田めぐみさん「クジラの咲く丘」(「文学と汗」5号)、真行寺蓮さん「蛍草」(「詩と眞實」915号、熊本市)、矢和田高彦さん「抹消」(「文芸山口」382号、山口市)、「文学と汗」は「謎」特集

にいな2025/10/06
長崎新聞2,025年9月28日に、「長崎県の同人誌」が載りました。取り上げられている同人誌は詩誌を含めて9誌。「ら・めえる」90号では草場里見さん、吉田秀夫さんの小説と藤澤休さんの評論。「長崎文学」107号(週刊号)は野沢薫子さん追悼号。野沢さんは昨年10月に御逝去。「西九州文学」52号は居原木咲子さんと白石昇さんの小説。

「西日本新聞」9月9日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「感覚的経験」
白石昇さん「溶接」(「西九州文学」52号、長崎県大村市)、有森信二さん「億年の光」(「海」101号、福岡市)
後藤克之さん「星色観測」(「絵合せ」11号、福岡市)、朝霧けいさん「遊行二人」(「筑紫山脈」46号、福岡市)、柳川文芸「ほりわり」は「北原白秋生誕百四十年 私と白秋の詩」を特集。寄稿北原白秋記念館館長高田杏子さん

「西日本新聞」8月11日(月)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「ケアの現場」
ひわきゆりこさん「乗りそこねないように」(「胡壷・KOKO」15号、福岡県須恵町)、富節栄さん「花葬」(「佐賀文学」39号、佐賀県大町町)
樋渡喜美子さん「限りある命だから」(「佐賀文学」39号)、山本友美さん「天から降りた」(「胡壷・KOKO」15号)、井本元義さん「黒い川」(「詩と眞實」913号、熊本市)、五十隆さん「ベンジャミンの恋占い」(「海峡派」163号、北九州市)

「西日本新聞」7月8日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「自身の姿」
野見山潔子さん「マザー プリーズ ホールド ミー」(「火山地帯」214号、鹿児島県鹿屋市)・松崎祥夫さん「紙魚(しみ)」(「龍舌蘭」214号、宮崎市)
・多胡吉郎さん「ピアニスト・ケン」(「火山地帯」214号)が完結・杉尾周美さん「カカオ十五トン」(「龍舌蘭」214号)、岡林稔さんと仁志幸さんによる南邦和さんへの追悼文

「西日本新聞」6月11(木)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「風景」
深田俊祐さん「海辺の家へ」(「南風」57号、福岡市)、髙﨑志乃さん「場所・市場一区」(「季刊午前」65号、福岡市)
紺野夏子さん「遠雷」(「南風」57号)、古木信子さん「影心中」(「季刊午前」65号)
(付記)
「西日本新聞」(6/12朝刊)に荒牧邦三さん作「殉空に散る」(「詩と眞實」6月号)が大きく取り上げられています。当HPでも紹介しましたが、現在では考えられないような悲惨な事件を丹念に取材してまとめられた作品です。新聞の見出しは「戦時の狂気 語り継ぐ」です。

全国同人雑誌協会「ニュースレター2025.5月」全国同人人雑誌評 - わだしんいちろう
 同人雑誌の魅力とは?と問われれば、すべてが個性的で、似たような同人雑誌がほとんどないことだろう。そこには多種、多様な作品が掲載されている。昨今、エンタメ系に押されている商業文芸誌と違い、時代に流されず、かたくなまでに己の心情をつらぬいている。
 ただ弱点は、横の連携がほとんどないことだ。発信力に乏しく、他誌についての情報が入ってきにくい。だから他誌を積極的に読む気にならないため、読者が限定されてしまう。かくいう私自身も、同人雑誌評を担当していなければそういう状態でいただろう。
 今回、『文芸思潮』から9冊送られてきた。初めて知る同人誌もあれば、名前だけ知っていても読んだ経験がないものも数冊あった。
『朝 46号』(東京都)は小説の力作が並び、特集は「今度生まれ変わるとしたら……」。
「月の石」吉田 陣は「同棲するなら挨拶に来てほしいってお父さんが言ってるの」と恋人に言われて、現在33歳、無職のおれの人生が語られていく。大学卒業後テレビ番組制作会社で契約社員で働いていたが嫌気がさし、24歳で陸上自衛隊に入隊する。それらの体験がニヒルな目でこと細かく描かれ、読者を引き付けていく。結末で実際恋人の家を訪ねた場面が描かれてあり、短篇の構成としてもうまく展開されている。
「フィルター」美多来紀穂は、上質な甘さを感じさせるメルヘンタッチな作品だ。「進行性の眼病が発覚したのは小学5年生の時」だった「私」は、年齢とともに進行し、失明を覚悟して、心の準備をしていた。その「私」に突然ドナーが現れ、角膜手術をすることになった。手術後、はっきり見える世界に戸惑う。そしてドナーの角膜の記憶に導かれて、ドナーの母親と出会い、若くして亡くなったドナーのことを知るという物語だ。
「おばあちゃん永逝」松田祥子は、日記形式で「私」の祖母が亡くなる前後が描かれている。「テレアポの会社が潰れて、ダメもとでホテルのフロントの面接を受け」て入社した「私」。既婚者の「よっちゃん」と付き合っている。「五十三歳の男にとって、三十八歳の女はどれくらい価値のあるものだろうか。」と心配し、自信がない「私」の心理がコミカルな哀愁を誘う。
『飢餓祭 52号』(奈良県)は小説中心な同人誌。
「暗(くらがり)峠(とうげ)を越えて」森口順子は、高校時代の「新年恒例の耐寒訓練の日」の主人公「美和」の思い出から描かれていく。好きな男子を麻衣子にとられ、独身のまま33歳になって、偶然好きだった男子と出会う。麻衣子のことを聞くと、今は車椅子生活だという。麻衣子に会ってくれと頼まれ、しぶしぶ麻衣子を訪ねる、というような女の奇妙な友情物語。
「ジャイアンツ」奈良敦子は、「あゆ」は70代後半。国立大学の社会人受講生で大学生に交じり受講している。昼弁当を先生に持参したり、男子学生に菓子パンを「食べて!」と差し出したりしている。そして映画「ジャイアンツ」の感想が長々と語られる。リズミカルな文体はコミカルで、小気味よさがある。
『文芸中部 128号』(愛知県)小説作品を中心に随筆、詩がはさまれている。特集は、「私の一番好きな本」。
「幸儒(こうじゅ)の木」大西真紀は、不思議な世界を描いている。「わたし」は、二十代半ばで祖母の妹との二人暮らし。趣味と実益を兼ねて香水や練香を製作していた。身長一メートル十五センチの小人で、ずっと差別されてきた。ある日、資産家の令嬢の代理が訪ねてきて、研究室で香水を作ってほしいと誘われた。そこは英虞湾に浮かぶ幸儒島だった。そこにはいろいろな小人症の人たちが集められていた。「わたし」はその令嬢に恋をするが、令嬢は他の小人が好きで「あなたに興味を持つことはない。これからも」という……。
『ガランス 32号』(福岡県)ガランスとはフランス語であかね、あかね色という意味。六篇の小説が並ぶ。
「阿蘇を駆ける馬」野原水里は、絵画が好きな読者におすすめである。短大卒業後、絵を売る会社に入社した「わたし」は売り上げがなかなか上がらない。三年目にスーパーでリトグラフを売るという企画のアシスタントに指名された。そこに来た弱視の老婦人と会話して売ることができた。こうしたやりとりを通じてしっとりとした感動を醸し出している。
『照葉樹 二期 27号』(福岡県)小説。随筆、俳句、詩と多彩な作品が並ぶ。
「幸せのパズル3」水木 玲は、ポーチを拾って交番に届けると、今朝生き倒れた男のものだったと分かる。その男は「餓死を希望されて食事を摂られていません」ということだった。そこでおせっかいをして生きる意欲を取り戻させてやるという現代風おとぎ話。巧みな展開で読者を引きこんでいく。
『AMAZON 528号』(兵庫県)驚きの号数だが、一九六二年から年6回発行しているためだ。その功績が称えられ、2年前に第2回全国同人雑誌賞を受賞している。詩、小説、エッセイ等が並ぶ。例会通信には、合評録が載っている。
「後期高齢者がゆく(2)」豊澤 廣は、「呉竹光彦は、以前から精神科で軽いうつ病、および不安神経症と診断されている。」カウンセラーに「それでどう改善されたいのでしょう」と聞かれ「ズバリ、エッチしたい。私とできますか」と暴言を吐くが、公然と無視される。入院してからは看護師たちから「扱い難い患者」という悪評を得る。介護の裏面を描いていて面白く読んだ。

「西日本新聞」5月6日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「昭和戦後期」
冒頭、有馬学さん著『日本の歴史第23巻 帝国の昭和』(講談社、2020年)について言及
木下恵美子さん「ブラックスワン」(「詩と眞實」910号、熊本市)、岩崎美枝子さん『清らかな川の町 花街の小さな女戦士」(福岡県人権研究所)「文芸福岡」・「リベラシオン」発表作品を含む
矢和田高彦さん「ホタル狩り」・米本智恵さん「猫にたい焼き」(ともに「文芸山口」380号、山口市)、宮川行志さん「婆ちゃん画家「シスコさん」」(「詩と眞實」910号)

「西日本新聞」5月6日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「昭和戦後期」
冒頭、有馬学さん著『日本の歴史第23巻 帝国の昭和』(講談社、2020年)について言及
木下恵美子さん「ブラックスワン」(「詩と眞實」910号、熊本市)、岩崎美枝子さん『清らかな川の町 花街の小さな女戦士」(福岡県人権研究所)「文芸福岡」・「リベラシオン」発表作品を含む
矢和田高彦さん「ホタル狩り」・米本智恵さん「猫にたい焼き」(ともに「文芸山口」380号、山口市)、宮川行志さん「婆ちゃん画家「シスコさん」」(「詩と眞實」910号)

「西日本新聞」4月10日(木)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「持ち味」
立石富生さん「終の棲家」(「火山地帯」213号、鹿児島県鹿屋市)、小河原範夫さん「移住」(「ガランス」32号、福岡市)
多胡吉郎さん「ピアニスト・ケン 謝肉祭(カーニヴァル)、仮面が泣いたモーツァルト」、鈴木比嵯子さん「初盆」(ガランス」32号)
「ガランス」は田部光子さん(筆名・ミツコ田部さん)の追悼号。「『死海文書』深紅のエルサレム」を再掲。表紙は田部さん作「林檎の表象(万有引力)」

にいな2025/04/02 (Wed)
令和7年3月30日(日曜日)の長崎新聞に、「長崎県の同人誌」が掲載されました。筆者は小出久記者。取り上げられている同人誌は、9冊。「ら・めえる」89号では、小説「告知」(熊高慧)は、がん告知を巡る問題を取り上げる。小説「天正遣欧少年使節・第2回」(吉田秀夫)は、喜望峰で暴風に翻弄される場面を描く。「長崎の文学碑を訪ねて」(新名規明)は向井去来の5基の句碑を紹介する。詩と批評「あるるかん」は高原かず子の詩と田中俊廣のエッセーを取り上げる。「九州文學」587号では内田ゆうこの連載小説の開始を紹介している。

「西日本新聞」3月6日(木)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「殺生」
『九州・沖縄 同人誌傑作選』(花書院)
瀬崎峰永さん「僕がミミズになるまで」(「海峡派」162号、北九州市)、高岡啓次郎さん「ある殺意」(「海」100号、福岡市)
植木英貴さん「サーカスの唄」(「詩と眞實」908号、熊本市)、矢和田高彦さん「遅ればせながら」(「文芸山口」379号、山口市)、「絵合せ」10号(福岡市)より野沢薫子さん「ムジナの里」
冒頭に紹介された『九州・沖縄 同人誌傑作選』について転載します。
『九州・沖縄 同人誌傑作選』(花書院)が刊行された。福岡市の出版社の仲西佳文さんによる企画で、ウェブサイト「文芸同人誌案内」開設者の樋脇由利子さんの協力による。「其の一」「其の二」の2巻に、福岡から沖縄の同人誌作品15作を収める。仲西さんの言葉(「はしがき」)にあるように、同人誌は取り扱う書店が少ないうえ、さらに「昨今の書店の急激な減少でなかなか同人誌を入手するのはのは困難」な状況にある。同人誌間のさらなる交流を目的とした書籍の刊行を心から喜びたい。次の企画も考えられているとのこと。心待ちにしたい。

「西日本新聞」2月4日(火)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「意外な展開」
鈴木比嵯子さん『霧の扉』(梓書院、2024年11月、初出「ガランス」)、鳥海美幸さん「執行ボタン-20XX年-」(「龍舌蘭」213号、宮崎市)
杉尾周美さん「ぎょう鉄」、仁志幸さん「吉都線」(共に「龍舌蘭」213号)、出町子さん「ドアを開けて」(「詩と眞實」907号、熊本市)、古岡孝信さん「AI+MRI=NSK」(「二十一せいき」106号)

「西日本新聞」1月10日(金)朝刊「西日本文学展望」茶園梨加氏筆
題「地域に生きる」
出水沢藍子さん「河口周辺」(「小説春秋」35号、鹿屋市)、浜崎勢津子さん「熊杖の里」(「文芸山口」378号、山口市)
齊藤きみ子さん「マミーズ・ヒストリー」(「小説春秋」35号)、木島丈雄さん「現場の人びと」(「季刊午前」64号、福岡市)、下村幸生さん「鹿男」(「宇佐文学」75号、大分県宇佐市)